上記のような書籍を取り上げておいて、ちゃぶ台を返すようなことを書いてしまいますが、知的生産の技術的なところは、書籍も含めてですが、あまり深く追求しない方が良いのではないかと個人的には思っています。何か現実的な課題に取り組む上で、結果としてそのような知見が得られたという方が良いと思うのです。
知的生産の書籍についても、書店で見かけるものはほとんどが内容の無いハウツーものや自己啓発的なものが多いですし、ほとんどコンプレックス商売の餌食になっているんじゃないかなあと。なので古典の方が良著が多いと思います。
もしクリエイティビティ自体に興味をお持ちでしたら、知的生産そのものよりも、人間理解を深める方向に行った方が良いのではないかと思います。認知とか言語、身体など科学的なアプローチもありますが、突き詰めると結局は文学になるような気もしてます。

文学的視点から知的生産へアプローチする

上記のような書籍を取り上げておいて、ちゃぶ台を返すようなことを書いてしまいますが、知的生産の技術的なところは、書籍も含めてですが、あまり深く追求しない方が良いのではないかと個人的には思っています。何か現実的な課題に取り組む上で、結果としてそのような知見が得られたという方が良いと思うのです。
基本的には仰るとおりだと思います。やはり、実践で試した中で上手くいったものこそ、本物の知的生産の技術だと思います。ただ、私「知的生産フェチ」(#750 『手法に耽溺することの危険性と知的生産フェチ』)なので。
特に、「知的生産の技術」、「発想法」の二つの古典には、本当に新鮮な驚きと尊敬を感じたので。これぞまさに、知的生産の守破離における、「守」ではないかなと。なので、他にも良い「守」が無いかなと欲張ってしまったのです。
知的生産の書籍についても、書店で見かけるものはほとんどが内容の無いハウツーものや自己啓発的なものが多いですし、ほとんどコンプレックス商売の餌食になっているんじゃないかなあと。なので古典の方が良著が多いと思います
古典の方が良書が良いというのは、今のところ同意です。私が現在までに出会った書籍やウェブの情報で、上記の2冊を超える驚きを与えてくれたものは、未だにありません。
もしクリエイティビティ自体に興味をお持ちでしたら、知的生産そのものよりも、人間理解を深める方向に行った方が良いのではないかと思います。認知とか言語、身体など科学的なアプローチもありますが、突き詰めると結局は文学になるような気もしてます。
これは良いヒントを頂いた気がします。どうもありがとうございます。特に、文学というアプローチには興味を引かれます。実は、個人的には現在、「芸術」という表面から知的生産に関するアプローチをしているところなのです。イメージを表現する、という関連性の他にもいろいろと参考になる点が多々あり、面白いですよ。

『ドアコン(仮称)』(ID801番) → ...

 まさにその瞬間、彼の脳裏にハッとイメージが浮かんだ。そのイメージこそ、今彼の脳内宇宙を駆けめぐっている疑問への答えそのものである。と、彼は理屈抜きに確信していた。彼はそのイメージを脳内宇宙で何度も反復し、暗唱し、そのイメージを確かな言葉、キーワードとしてから、おもむろに明かりをともした。のっそりと体を起こすと、枕元から愛用のメモ帳を取りだしお気に入りのペンでそのイメージのキーワードを書き記した。
「――――」と。
 そこで、彼はふと思いとどまった。このイメージは本当にキーワード、問題を解く鍵そのものなのだろうか。むしろ、ドア、入り口のようなものではないか。そう思い立った瞬間彼の脳内宇宙に知的快感が波となって押し寄せた。新たなイメージ達が、次から次へと波に乗って彼の脳内宇宙に押し寄せてきた。
 ドア。入り口。鍵。ゴール。ドアは1つか。いや複数だ。ドアの集合体。コンプレックス。ドアコンプレックス。シネコン。シネマコンプレックス。ドアコン。ドアコン、これこそが新しいキーワードだ。いや、またキーワード? それじゃあ矛盾する。座標。ID。固有識別番号。無感情。先入観の排除。キーワードは先入観を招き、想像力を阻害する。本当にこのイメージはドアコン、だけなのか。驚異の部屋。(博物学)。新鮮な素材。たくさんの様々な種類の新鮮な素材。市場。食材の市場。青空市場。うん、やっぱり多数のイメージがある。座標。そうこのドアの座標だけがあればいい。その座標からたくさんの四次元ドアが広がっている。! タグフラグメント。名前のないタグ。フラグメント番号を機械的にIDとして割り振れば。やっぱりPiggydbはスゲェ。スゲェよ。タグフラグメント。名前のない括り。タグフラグメント。・座標ID。・ドアコンプレックス。・キーワードは付けない。・ゴールではなくこれが、入り口。・先入観を排除し、想像力の広がりを。・食材の市場。タグフラグメント。・座標ID。・ドアコンプレックス。・キーワードは付けない。・ゴールではなくこれが、入り口。・先入観を排除し、想像力の広がりを。・食材の市場。タグフラグメント。……。
 ひとしきりイメージの波が落ち着いた後、彼はまたそのイメージを思い返した。
 一度、二度。
 最初からもう一度。
 どんな風に連想したのか、ゆっくりと思い出した。
 ふーっと深呼吸を挟む。
 そして、もう一度イメージを反芻する。
「……よし、もう大丈夫だ」
 彼は、自分の脳内宇宙が、最低限の落ち着きを得て、仮組みではあるがイメージを構造的に記憶できたことに安堵感を覚えてペンを取った。その時、彼の脳内宇宙に知的快感の余韻はもう無かった。彼の脳内宇宙では大迫力のビッグウェーブだったが、現実世界の紙にインクを引けば、それがとてもちっぽけなものに見えた。それが文字だろうが、絵だろうが、図解だろうが、皆同じ事だ。A6のメモ帳の見開き1ページ。客観的に見てまさに手のひらサイズだ。
 客観的。
 そう、彼はもう自分のアイデアを客観的にみれるまでに落ち着いていた。先ほどまでの彼は、自分が天才だと錯覚していたが、今はもう正常だ。彼は自分が凡人であることをよく知っている。あいにく、彼は酒を飲んだことがなかったが、『酔いが覚める』とはまさにこういう気分を指すのだろう。
 だが、彼は知ってもいた。複雑怪奇で入り組んだアイデアの方がいかにもかっこよさそうだが、現実に役に立つのは、短く小さく圧縮された情報であること。シンプルで分かりやすい組み方をされたアイデアであること。
 そして、分かっていた。それでもそのアイデアは現実の世界において、とてもちっぽけなものであるとも。現実には、同じように圧縮され、シンプルに組み立てられた情報がたくさん集まって、本になり、辞書になっていることを。だから彼は謙虚に素直に、そしてポジティブに思った。
「良い道に向かって、一歩前に進めた。今日は良い日だなぁ」

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作者注。

この描写は長いです。後半部分は1フラグメントに1コンテキスト、という原則から見たら蛇足。後半部分があることで、複数のコンテキストが存在してしまっている。ただ、ストーリーの余韻としてはあっても良いかなと思い、残しました。

また、後半部分のコンテキストも知的生産に関する素敵なコンテキストである気がしていますし、また前半部分のコンテキストとのつながりも大事に記録しておきたいとも感じています。

「驚異の部屋(ヴンダーカマー)」が私の心をワクワクさせる

後は、「博物学」ですね。
この本は私の知的生産における目標の1つであり、バイブルの1つです。特に「驚異の部屋(ヴンダーカマー)」とか「好奇の部屋(キュリオネス・キャビネット)」と呼ばれる陳列室を知ったとき、私の心はワクワクドキドキし、知的憧れが止まりませんでした。これらの部屋に関しては、いずれ語れる日が来ると良いのですが、私としては特に
といった2点を強調させて頂きたいです。