タギングの可能性

タグはとても柔軟性の高い分類の方法です。
情報を整理するための手法としては、予め分類の体系を作っておき(カテゴリー)、情報をそれらのいずれかに振り分けていく、というトップダウンのやり方が一般的でしたが、タギングはこれと反対で、ボトムアップに情報を分類します。
どのような分類があるのかは気にせずに、その情報に相応しいと思えるラベルを思いつくだけ貼っておいて、同じラベルの付いたものを後から引き出す、というのがタギングのコンセプトです。
Piggydbのタグシステムは、従来的なタグ(ボトムアップ)としての使い方だけではなく、カテゴリーのように予め分類を作っておいて、それらを適用する(トップダウン)という使い方も可能です。必要に応じて両方の使い方が出来るようになっています。
さらにタグはカテゴリーと違って、単なる分類・整理の用途には留まらず、様々な応用が可能です。例えば、自分がやらなければならない仕事の一覧(TODO)を管理したり、情報を共有している他のユーザーに対するメッセージとして利用したり、等等。
Wikipedia - タギング

何のために「分類」するのか?

そもそも何のために「分類」するのでしょう? おそらく多くのケースにおいて、分類は後々の検索性のために行われるのではないでしょうか。例えば、カテゴリーは、全ての情報が、体系化されたカテゴリーのどこかに必ず所属するという条件を以って、情報の検索性を保証する仕組みです。
しかし検索性を確保するためのカテゴライズは情報量が多くなるに従って必ず破綻することが知られています。いわゆる「こうもり問題」です。また分類という作業は継続的に行うには知的負荷の高い作業です。カテゴリーの多重化などによって「こうもり問題」を解決しても一貫性のある分類を維持するのは至難の業です。よって、分類することは放棄され、情報は時系列に保存しあとは検索すれば良い、ということになります。
これは完全に私の主観的な考えですが、こういったいわゆる情報管理のための整理術云々(書店に行くとそういった書籍が沢山並んでいますが)、というのは全く重要なことではない、はっきり言って、どうでもよいと考えます。それよりも「何か重大な情報を見逃してしまっているのではないかという強迫神経症」から早く解放されるべきです。
ではPiggydbにおける「分類」とは何なのか? それは一言で言えば、「ユーザー自身が学習するため」の分類です。本来分類という作業は機械的にできるものではありません。先程書いたように知的負荷の高い作業です。検索のためのタグ付けであれば、単純にキーワード検索でもいいということになってしまうかもしれませんが、本当の分類(classification)は、そのキーワードが情報に含まれるかどうかとは無関係です。よって、Piggydbではユーザー自身が考えてタグ付けすることが重要です。

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何のために「分類」するのか?を読んでホッとしました。 実はいろいろ登録していたのですが、タイトルはともかくとして タグ登録にヘトヘトになってしまい、まさにコーモリ状態でした。 現在はタイトルだけは書きますが、タグは無視してとりあえず登録を 繰り返しています。 タグはフッと気がついたときに登録しています。おかげでスピードがアップしてフラグメントも多くなりました。 次のステップへ行けそうです。

分類とつながりの効用 → ...

#155で既に論じられていることを再論するようで恐縮ですが、この間から考えていたことを書かせていただきます。
「『超』整理法」(野口悠紀雄著)では分類の問題点として次の各点をあげています。
  1. こうもり問題(暗闇でぶら下がっているコウモリのように、どこに分類したか、どこに分類すべきか分からなくなる)
  2. その他問題(その他分類ばかりがふくらむ)
  3. 誤入問題(間違えて分類してしまい見つけられなくなる)
  4. 分店時の在庫引き継ぎ問題(分類を細分化し、分家にする場合、一貫性を保とうとすると手間が半端でない)
  5. 君の名はシンドローム(何と名付けたか忘れてしまう)
そしてそのような問題点のある分類に精を出すぐらいなら、分類せずにファイル毎に時系列に並べておきなさいと説いています。
実際、紙媒体の書類を一定のスペース内で時系列に並べ、適宜いらないものを処分しながら、ところてん方式で押し出されたものを捨てる、取り出したものはまた最新ファイルとして手前に戻すという方法で管理すると、実際に使うものを使いたいときにピックアップできて大変便利です。
ただ、上記の各問題点はコンピュータとソフトウェアの高機能化により、電子ファイルについては相対的に問題が小さくなってきていることもまた事実かと思います(何といっても1993年に発行された書籍ですから)。コピーも検索も紙媒体に比較してとても簡単です。Piggydbなら負荷なくカテゴリを複数つけることができ、つながりと連動させればコウモリ問題の発生の頻度をかなり下げられます。少なくともどこに保存したのか分からないという状態は極めて発生しにくい状態です。となると少なくとも電子ファイルについては、分類することの問題点を論じることより、#155のように「何のために分類し、つながりをつけるのか」を考えた方が実があると思います。
「脳と気持ちの整理学」(築山 節-脳神経外科専門医-著)は、脳には長期記憶の書庫と一時記憶の机があるが、いきなり長期記憶の書庫に入れることはできず、一時記憶の机に一旦はのせる必要があるといいます。そして一時記憶の机は「マジック7」と呼ばれるほどに狭いため、細切れの入力、ファイル化(情報を分類しカテゴリーごとに整理、確認する)が必要である、また、キーワードは記憶を引き出す手がかりとなる、と説明しています。これは#155で説明されている、「『ユーザー自身が学習するため』の分類」ということに通じるのではないかと思います。