流動的な双方向性を持った知的生産
元のKJ法の記事(#735)の「既存の知識体系からの脱却」については、ちょっと誤解を与える表現だったかなと反省していますが、既存の知識を無視していいという話ではありません。むしろ既存の文脈がなければ「画期的なアイデア」なる概念すら存在し得ない。つまり、「コンテクストの共有」が前提にありつつ、「既存の知識体系からの脱却」をするという話です。脱却というか、その上に新しい視点を加えると言ったほうがいいのかもしれませんが、、、
- 社会的に"画期的な"アイデアがどうかには、まるで興味がない。→『むしろ既存の文脈がなければ「画期的なアイデア」なる概念すら存在し得ない』
- ビジネス的に成功したい、ソーシャルなネットワークの中で"画期的な"アイデアを披露し、自慢したい、というような欲が、現状まるでありません。
- 現代社会に置ける既存の知識の膨大さに圧倒され、それらを全て勉強してからでないと画期的なアイデアを育てられないというのであれば、二番煎じの自己満足で良い、と開き直っている
- 既存の知識を勉強することで、ミスを減らし、無駄を省くことができる事は理解している。ただし、その為の勉強の時間と自分のアイデアをアウトプットし育てていく時間、その両者のバランスを取っていきたい。
- 二番煎じや追体験は、社会的には無駄かもしれないが、個人的には決して無駄な状況でもないと思う。そこには、無知故かもしれないが、"0→1"を知った知的快楽が存在し、その後の知的生産のモチベーションになるからだ。
- 極端な例で言えば、"先人のミスの追体験"だって無駄な経験ではないと考えている。
- 逆に言えば、"知識のつまみぐい"はできるだけ止めたい。表面的な認識から生む誤解は減らしたいし、先人の知識に対しても失礼だと思う。勉強するなら、しっかり勉強したい。
- 数は少なくても"なんとなく知ってるつもり"という状況を減らし、本当の自分の体験、本当の自分の知識にしていきたい。深く、狭く。
- 「コンテクストの共有」と「既存の知識体系からの脱却」の関係性
- 「ミスを極力減らし、かつ作業全体にかかる時間を減らして効率的に作業をする」という目的のためなら、『「コンテクストの共有」が前提にありつつ、「既存の知識体系からの脱却」をする』というのは正しい解答なのだと思います。つまり、「コンテクストの共有」→「既存の知識体系からの脱却」という一方通行の勉強法ですね。
- ただし、私の場合は、ミスや誤解が起きる事を受け入れた上で、流動的に対応しています。日々の限られた時間の中で、常に新しいアイデアが湧き出てくる状況の中では、必然的に「自分のアイデアのアウトプット」→「既存のコンテクストの参照」となってしまいます。グループ分け、カテゴライズにしても、基本的に自分の思いつきに由来することが多くなりますね。そもそも、「既存のコンテクストの参照」それ自体が難しいケースだってたくさんあります。
- 個人的には、会議などの際でも、「思いつき」、「コンテクストの共有、参照と修正」、「既存の知識体系でのカテゴライズの参照」「その場の感情的なカテゴライズ」などが流動的に行われれば良いと考えています。特に「コンテクストの共有」に「参照と修正」の概念を追加することが大事じゃないかなと。誰かのコンテクストが間違っていたら、正しい知識のある人が参照すべき情報を提示してあげる事。又逆に、新たなアイデアや視点が生まれたことで、参照すべき知識が追加、更新、修正されたりもする。その双方向性がとても大事なのだと思います。
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magicianさんのお立場はよく分かりました。元発言(#744)の意図は、あくまで「#735 KJ法の失敗パターンから知識創造のノウハウを学ぶ 」の話を補足するのもので、magicianさんのスタンスやPiggydbの使い方を否定するものでないことはお忘れなきよう。基本的には楽しく便利に使って頂ければそれがベストです。
「思いつき」については、表面的な連想と言い換えても良いかも知れませんが、言葉面だけ捉えていては深い発想はできない、というのが元記事の論旨でもあります。守破離という言葉がありますけれど、基礎があるから脱却できるということで、文字通り「「コンテクストの共有」→「既存の知識体系からの脱却」という一方通行」が基本になります。
「守破離」と「CAJBR」
あの長文の自己紹介ををわざわざ丁寧に読んで頂きまして、本当にどうもありがとうございます。
基本的に否定された印象は受けていません。これまでも、そしてこれからも楽しくPiggydbを使わせて頂きますね。
また、一応、このスレッド(フラグメントの流れ)という文脈、特にと「#735 KJ法の失敗パターンから知識創造のノウハウを学ぶ」というものを受けた文脈の上で、一連のフラグメントを投稿したつもりです。スレッドのコンテクストを受けて、連想、発想したフラグメント群です。
「思いつき」については、表面的な連想と言い換えても良いかも知れませんが、言葉面だけ捉えていては深い発想はできない、というのが元記事の論旨でもあります。守破離という言葉がありますけれど、基礎があるから脱却できるということで、文字通り「「コンテクストの共有」→「既存の知識体系からの脱却」という一方通行」が基本になります。
面白いですね、実は私もこの投稿が終わった後、"守破離"とそれに対応する概念を考えていたんですよ!
「守破離」
- 「守」:まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。
- 「破」:その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。
- 「離」最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。
「CAJBR」(仮称)
- 「Curiosity(好奇心)」:まずはとにかく興味を感じることから。
- 「Action(実行)」:そして、とにかく実行してみる。
- マニュアルがあっても読まない人も多い。
- 「Judge(判断)」:実行した結果、自分にとって素晴らしいもの、勉強する価値のあるものなのかを判断する。
- 「Basis(基礎)」:自分にとって価値のあるものだと判断したら、そこで始めてマニュアルなどを読み基礎を学ぼうとする。
- マニュアルが存在しなければ、それに類するもの、もしくは応用できそうな考えが無いか、探してみる。
- 「Respect(尊敬)」:そして、基礎を学んでみて始めて、先人の偉大さに気付いてリスペクトする。
- 自分の素晴らしいオリジナルの発想が二番煎じだったと気付かされたりもする。がそれはそれで良い経験。
「CAJBR」が良い思想かどうかは別として、実際によく起こりえるパターンだと思います。例えば、私の場合は、iPadの新しいアプリに対して、ほとんどこの行動を取ります。(私の場合、自分でお金を出したものなら、初操作の前にマニュアルはきちんと読みます。無料で手に入れたものの場合は、マニュアルを探したりもしないことが多いです)特に、アプリにはそもそもマニュアル類が存在しない、教科書となる教えが存在しない場合が多いですからね。ただ、現代ではマニュアル・教科書が存在するものに対しても、こういったパターンを取る人は多いと思います。
とにかく「守破離」は、教科書となる教えがあり、かつそれを勉強するためのコスト(時間とお金)を投入するだけの情熱がある対象に限って成立しますよね。
私の場合は、スポーツに関してはとにかく素直に先生の教えに従って「守破離」を忠実に守っています。テニスもスキーもゴルフもいつも、「基礎、基礎、基礎」です。基礎だけでも体を動かすだけで楽しいですしね!
また、教科書のある学習やノウハウやマニュアルがある仕事の場合も、できるだけ「守破離」に従うことにしています。この方面に関しては、「破」を思いつくこともありますが、その場合でも出来る限り「守」で基本を学んでから、「破」を実行することにしています。
ただ、そもそも「教科書となる教え」が存在しない分野、(自分が教科書を見つけられない分野)が、実は一杯、この世の中に存在しているんですね。自分の興味のある分野ですから、ネットでも書店でもいろいろ探してみるんですが、なかなか見つからないんですね。これから時代が進むにつれて、そういった分野がどんどん登場してくると思います。そういった分野の場合は、自分で一から分類やら何やらを考えていかないといけないですよね。私の場合、そう言った分野を学んでいく場合に、Piggydbが大いに活躍しています!
言葉面だけを捉えていては深い発想はできない
「思いつき」については、表面的な連想と言い換えても良いかも知れませんが、言葉面だけ捉えていては深い発想はできない。
私の場合は、「思いつき」や表面的な連想が生まれた、その裏には、実は自らの過去の経験や知識に基づいた"何か"があるのではないか、と考えてしまうのですが、"言葉面だけを捉えていては深い発想はできない"という部分には大いに同意しますので、これに関する議論は、一旦ここで区切りたいと思います。
また、私の場合、この議論に限らずに、とにかく連想・発想したものをどんどん関連づけていく傾向が強く、いつの間にか元の議題からそれている事がよくあります。この考え方はPiggydbを使い出してからより強くなったので、Piggydb.jpではそのような考えが受け入れられやすいかなと思って、普段の感じで話を展開、飛躍させていましたが、今後は、「現在、議題となっている内容」にそった内容かどうか、一呼吸おいて考えてから、投稿することにします。それが、現在の議題から連想され、飛躍している話題であれば、そのことを伝えるようにしたいと思います。
逆に言うと、Piggydbは名前を付ける必要のない"つながり"を活用することで、どんどん発想の連鎖を生むことが出来るので、本当に私に合った知的生産ツールだと思います。素晴らしいツールを本当にどうもありがとうございます。