KJ法

KJ法(-ほう)は、文化人類学者川喜田二郎(東京工業大学名誉教授)がデータをまとめるために考案した手法である。データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、論文等にまとめてゆく。KJは考案者のイニシャルにちなむ。共同での作業にもよく用いられ、「創造性開発」(または創造的問題解決)に効果があるとされる。(Wikipediaより)
収集した情報をグルーピングしてコンセプトを作る手法。特に「異質のデータを統合する」ときに新しいコンセプトが生み出される、とする。発見したコンセプトを論理的に納得できるよう、空間的に配置し、それを元に文章を作成するのが最終目的である。
Piggydbの手法は基本的な部分でKJ法と同等であると考えられる。KJ法はカードを利用するので情報量に限界があるが、Piggydbはコンピュータソフトウェアで実現されたデータベースなので膨大な情報量を材料にでき、かつ情報の見せ方も柔軟に選択できる。

KJ法の失敗パターンから知識創造のノウハウを学ぶ

この記事によれば、KJ法とは、
そもそもバラバラに集めた質的データを、いかに包括的な視点でそれらの関係性を組み立て、部分をみていたのではわからなかった新たな発見をするかという手法です。創造的に問題発見を行う発想法です。
KJ法を使いこなすための重要なポイントとしては以下の三つが挙げられるようです。
  1. コンテクストの共有
  2. 既存の知識体系からの脱却
  3. ラベルの選択(命名)
観察者それぞれで異なる見方をしてしまうので、おなじ事実をみても観察者によって解釈が異なる
まず「コンテクストの共有」ですが、材料となる情報について、解釈が人それぞれで、でたらめな連想ゲームのようになってしまうと、表面的な議論に終始することになってしまう、ということですね。この問題ついては、#654でも言及しています。Piggydbは個人で使うケースが多いと思いますので、材料の解釈については問題にならないでしょうが、そこから新しいコンセプトに結びつける過程では、やはり文脈というのが大事になってきます。というのは、既存の知識や社会の文脈を踏まえなければ、何が隠された問題なのかを判断することも出来ないからです。
KJ化の肝、統合化の失敗パターンは特に興味深いです。
* 似ているものをつなぐことをせず、カテゴリーに分けてしまう。
* 観察対象の人びとの行動のなかの体験そのものを想像せずに、カードに書かれた言葉のイメージだけで分類する。
* 最初に大きなグループに分けてから、小さなグループを作ろうとする。
* グループ化したものに、そのグループに含まれる特徴をすべて含んだ適切なラベルがつけられない。
* ラベルが貧弱なため、ラベルとラベル同士の類似が見つけられない。
「既存の知識体系からの脱却」というのは、ある意味、KJ法やPiggydbのそもそもの目的と言ってもよいのではないかと思います。既存のカテゴリーを横断するような重要な問題を発見する。言うのは簡単ですが、普段からそのような思考方法に親しんでいないと、なかなか難しいところです。
とにかく普段、思考の別化性能(違いで分ける)ばかりはたらかせている現代人は、似ているもの同士をつなげるという類化性能をはたらかせるのが苦手です ... 求められているのは、「分ける」ことではなく「つなぐ」ことなのに、表面(言葉)の同一性に眼を奪われて、人びとの行動や体験そのものの背後にある類似性に眼を向けることが苦手です。 ... 本来常に動き変化するものである物事をことばなどで固定化した形でとらえてしまい、動いている事物のなかの緒力に目を向けられないという現代人の傾向にもつながる話ですね。
こういった思考方法を鍛えるにはどうしたらいいでしょうか。一つの案としては、全く関係ない分野の本をいろいろと読んでみる、というのも一つの手ではないかと思います。私は、既存の知識体系に囚われることを「専門性の檻」と呼ぶことがあります。知識豊富な人でも、専門家を自認していたりすると、通常よりも強くその分野の知識体系に囚われていることが多いからです。

コンテクストの言霊と友達として仲良くする → ...

いつもながら素晴らしく興味をそそられる記事を読ませて頂き、どうもありがとうございます。大変参考になりました。
今回、1.の「コンテクストの共有」を深めていくための方法を考えてみたところ、何度かEureka(アハ体験)が閃き、またその流れで、2.の「既存の知識体系からの脱却」についても少し関連する思考経過があったので、図解してみました。
サンプルとして面白そうな題材だったので、思いきってPIxiv(magpivというIDです)にアカウントを作って、画像をアップしましたので、宜しければご覧になって頂ければ幸いです。(オリジナルサイズの閲覧にはユーザー登録が必要みたいですが、登録したメールアドレスは原則非公開ですし、閲覧のみの方も大勢いらっしゃるので、良かったら登録して頂ければ幸いです)
(以前話題にした矢印とマルだけで作った図解、とは少し異なっています。せっかくPixivにアップするので、Piggydbのイメージを強調する図解にしてみました)
内容は、一言で言えば、「コンテクストを人に見立ててみると、いろいろなヒントが見えてきた」というものです。普段から、擬人化や八百万の神、言霊などの概念に馴染みがある方であれば、理解して頂けると思いますが、そう言った概念に縁遠い方だと理解に苦しむ内容かもしれません。
しかし、今回の記事は本当に興味深いですね。この記事の内容をヒントにいろいろ試行錯誤すれば、もっとPiggydbが素晴らしい知的創造ツールになっていきそうです。

KJ法を説明することは、「なぜあなたがやるKJ法はうまく行かなかったか」を説明する事に、ほとんど等しい。

KJ法には、一望する、並べ替える、突き合せる、名付ける、という知的作業の4エレメントがすべて含まれている。
KJ法を説明することは、「なぜあなたがやるKJ法はうまく行かなかったか」を説明する事に、ほとんど等しい。
一番よくあるのが「分類という病」だが、あるファシリテーターは「分類」をたしなめるのではなく(そうするとかえって「治療抵抗」が引き起されるだけなので)、あえてさらに「分類」に追い立てる事で、この罠を抜けるところまで持っていく。病気の経過を速度を上げて通り抜けさせるところなど、なかなかおもしろい。
「料理」はむしろ、異なるカテゴリーから材料を選んで来ないと成立しない。
中身→パッケージ→消費者(という人)へと、焦点が移動して来ている。

コンセプト

コンセプトに相当する日本語は「概念」ですが、いずれも辞書や辞典の説明で納得するのは難しい抽象的な「概念」です。
ここでは、ヒトが生来的に認識することのできる任意の「類似性」をコンセプトと呼ぶことにします。分かりやすく言うと、名指しできるもの全て、辞書やWikipediaの項目として紹介されるような、モノやコトのことです。
Piggydbは、情報の蓄積と編集を通して、ユーザーが新しいコンセプトを生み出すことを助けるような仕組みを構築することを一つの目標としています。
以下、Wikipediaより:
ある事柄に対して共通事項を包括し、抽象・普遍化してとらえた意味内容で、普通、思考活動の基盤となる基本的な形態として頭の中でとらえたもの。
その概念を言葉で表現されたものを「名辞」と呼び、言語の構成要素として、それを組み合わせ、述べ表し、判断・認識可能なものとして現実世界をとらえて表現する。人間はほぼこのような概念化した名辞によって、この世の中のあらゆることを理解したり、表現したりしている。
また概念は、それを提議・提唱する者の心性、視点、立場、精神的なポジション・在り方を反映する。
コンセプトは、それらを敷衍し同様に扱うことによって、個々の物事・出来事の間の違いを省き、物事・出来事の間に共通する大要、要約、見解、イメージ、つまりは「普遍的概念」となる。このコンセプトは、実在の出来事や事件、物事の関係を種類に分け、分類化し、カテゴライズし、クラス分けをするのに貢献する。
概念は人間の精神内部に存在する何かであり、抽象的、普遍的なものである。精神外部の世界に存在するものや、出来事や、それらの関係について概念が存在する。ひとつの概念は個々の事物というよりも、事物の集合に対して存在する。
概念は、個々の物事の細かな相違点を無視して、それらが同一であるかのように扱うという意味で抽象的である。概念は、(それが表す)個々の事物すべてに当てはまるという点で普遍的である。

類似性の発見 → ...

  • パターン認識 - Wikipedia
    • 「近年、「認識とは、結局どのクラスに分類されるかという識別問題に帰着することができる」という立場の研究が、人工知能や統計の研究と融合して大きな成果をあげている。」

タグフラグメント → ...

タグフラグメントは、タグの機能を併せ持つフラグメントです。
タグはWebサービスなどで普及している情報整理の手法です。いろいろな情報に対して、そのときに思いついた言葉でラベリングをしておき、後々その情報を探しやすくしたり、タグクラウドなどを利用して情報全体の傾向を把握したりすることができます。
フラグメントは、Piggydb特有のコンセプトで、データベースに入力される情報の単位です。ブログで言うと一件の記事、ツイッターで言うと一つのツイートに相当します。
この二つの機能を併せ持つので、タグフラグメントタグとして他のフラグメントに貼付ける(ラベリング)ことが出来るのと同時に、タグフラグメント自身がフラグメントとしてコンテンツを持ち、他のフラグメントとの「つながり」を持つことができます。
タグフラグメントは通常、データベースの中で重要なコンセプトを表現するために利用します。
ちなみに、この「タグフラグメント」という項目自体がタグフラグメントになっています。このフラグメントからの矢印を辿ると「タグフラグメント」というコンセプトにとって重要な項目を見ることができますし、「タグフラグメント」のページにジャンプすると、つながりによる隣接項目に加えて、「タグフラグメント」というタグが貼付けられたフラグメントの一覧も見ることができます。
上記のように、タグフラグメントは情報を二層に分けて整理するのが重要なポイントです。これによって、そのコンセプトにとって重要な情報と周辺的な情報を分けて管理することができるようになります。