おお、スゴい。行動が早いですね〜
引用箇所で重要だと思うのは「構造」という語です。コンテクストを「構造」だと表現していますよね。
これで示唆されるのは、物事を理解するときは全体として理解しなければならない、ということだと思います。全体は部分の和ではないんです。部分やキーワードだけに注目していたら、全体としての意味に辿り着くのは難しくなります。なので、「コンテクスト」のような抽象的な語に遭遇した場合は、辞書的な意味だけで分かったつもりにならずに、とりあえず判断を保留しておくのが重要なのではないかなと個人的には思います。「構造」もその手の語ですね。

「鉄は熱いうちに打て」を目標に、情熱を持って取り組むこと

こんばんわ、magicianです。
おお、スゴい。行動が早いですね〜
ありがとうございます。「鉄は熱いうちに打て」を目標に、情熱を持って取り組むことが、私なりの知的生産への向き合い方です。単純に脳内のイメージ記憶力が低いので、日数を経てしまうと忘れやすくなってしまうというのが大きな要因ですけれどね。最近は、字を丁寧に書くようになり、またメモの取り方そのものも向上してきたので、少しずつ日数を置いても大丈夫になってきましたが。
なので、「コンテクスト」のような抽象的な語に遭遇した場合は、辞書的な意味だけで分かったつもりにならずに、とりあえず判断を保留しておくのが重要なのではないかなと個人的には思います。
判断を保留しておく手段としてPiggydbを活用していくのも面白そうですね。

『ドアコン(仮称)』(ID801番) → ...

 まさにその瞬間、彼の脳裏にハッとイメージが浮かんだ。そのイメージこそ、今彼の脳内宇宙を駆けめぐっている疑問への答えそのものである。と、彼は理屈抜きに確信していた。彼はそのイメージを脳内宇宙で何度も反復し、暗唱し、そのイメージを確かな言葉、キーワードとしてから、おもむろに明かりをともした。のっそりと体を起こすと、枕元から愛用のメモ帳を取りだしお気に入りのペンでそのイメージのキーワードを書き記した。
「――――」と。
 そこで、彼はふと思いとどまった。このイメージは本当にキーワード、問題を解く鍵そのものなのだろうか。むしろ、ドア、入り口のようなものではないか。そう思い立った瞬間彼の脳内宇宙に知的快感が波となって押し寄せた。新たなイメージ達が、次から次へと波に乗って彼の脳内宇宙に押し寄せてきた。
 ドア。入り口。鍵。ゴール。ドアは1つか。いや複数だ。ドアの集合体。コンプレックス。ドアコンプレックス。シネコン。シネマコンプレックス。ドアコン。ドアコン、これこそが新しいキーワードだ。いや、またキーワード? それじゃあ矛盾する。座標。ID。固有識別番号。無感情。先入観の排除。キーワードは先入観を招き、想像力を阻害する。本当にこのイメージはドアコン、だけなのか。驚異の部屋。(博物学)。新鮮な素材。たくさんの様々な種類の新鮮な素材。市場。食材の市場。青空市場。うん、やっぱり多数のイメージがある。座標。そうこのドアの座標だけがあればいい。その座標からたくさんの四次元ドアが広がっている。! タグフラグメント。名前のないタグ。フラグメント番号を機械的にIDとして割り振れば。やっぱりPiggydbはスゲェ。スゲェよ。タグフラグメント。名前のない括り。タグフラグメント。・座標ID。・ドアコンプレックス。・キーワードは付けない。・ゴールではなくこれが、入り口。・先入観を排除し、想像力の広がりを。・食材の市場。タグフラグメント。・座標ID。・ドアコンプレックス。・キーワードは付けない。・ゴールではなくこれが、入り口。・先入観を排除し、想像力の広がりを。・食材の市場。タグフラグメント。……。
 ひとしきりイメージの波が落ち着いた後、彼はまたそのイメージを思い返した。
 一度、二度。
 最初からもう一度。
 どんな風に連想したのか、ゆっくりと思い出した。
 ふーっと深呼吸を挟む。
 そして、もう一度イメージを反芻する。
「……よし、もう大丈夫だ」
 彼は、自分の脳内宇宙が、最低限の落ち着きを得て、仮組みではあるがイメージを構造的に記憶できたことに安堵感を覚えてペンを取った。その時、彼の脳内宇宙に知的快感の余韻はもう無かった。彼の脳内宇宙では大迫力のビッグウェーブだったが、現実世界の紙にインクを引けば、それがとてもちっぽけなものに見えた。それが文字だろうが、絵だろうが、図解だろうが、皆同じ事だ。A6のメモ帳の見開き1ページ。客観的に見てまさに手のひらサイズだ。
 客観的。
 そう、彼はもう自分のアイデアを客観的にみれるまでに落ち着いていた。先ほどまでの彼は、自分が天才だと錯覚していたが、今はもう正常だ。彼は自分が凡人であることをよく知っている。あいにく、彼は酒を飲んだことがなかったが、『酔いが覚める』とはまさにこういう気分を指すのだろう。
 だが、彼は知ってもいた。複雑怪奇で入り組んだアイデアの方がいかにもかっこよさそうだが、現実に役に立つのは、短く小さく圧縮された情報であること。シンプルで分かりやすい組み方をされたアイデアであること。
 そして、分かっていた。それでもそのアイデアは現実の世界において、とてもちっぽけなものであるとも。現実には、同じように圧縮され、シンプルに組み立てられた情報がたくさん集まって、本になり、辞書になっていることを。だから彼は謙虚に素直に、そしてポジティブに思った。
「良い道に向かって、一歩前に進めた。今日は良い日だなぁ」

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作者注。

この描写は長いです。後半部分は1フラグメントに1コンテキスト、という原則から見たら蛇足。後半部分があることで、複数のコンテキストが存在してしまっている。ただ、ストーリーの余韻としてはあっても良いかなと思い、残しました。

また、後半部分のコンテキストも知的生産に関する素敵なコンテキストである気がしていますし、また前半部分のコンテキストとのつながりも大事に記録しておきたいとも感じています。